名ばかりとはいえ理事長になりましたから渉外業務も少しずつ出てきます。病院の改革と並行して少しずつこなしていきました。
メインバンク担当者と面会
当時のメインバンクは某大手地方銀行で、そこから10億円強の借入金がありました。債務超過になっていますから、うちの担当は支店の担当者ではなく、経営が危ない取引先を担当する本部の部署が担当でした。いいスーツを着たその担当者と面会すると、「法人の最高責任者である理事長と連帯保証人が異なるというのはコンプライアンス上好ましくない」という事を言われました。遅かれ早かれそういう事を言ってくるだろうと予想していたので、「とはいえ、わたしとしても自分に一切責任のない債務の事は責任を持ちたくない、むしろここまで貸し付けた方の責任もあるんじゃないですか?」と返しました。
メインバンクからの提案
「もちろんそれは当方も承知している、ある程度の債務カットも考えていないわけではないです」「ただし、一方的に債務カットをするのは株主に申し開きができないので、第三者にどれくらい債務カットをすれば経営が再建できるのか評価をしてもらいましょう」と「その第三者とは?」「支援機構です」
支援機構???となったわたしはひとまず、少し考えさせてください、と返事をしました。
再生支援機構とは
現在は地域経済活性化支援機構と名前が変わっていますが、民主党政権の最大の功績と言われているJALの再建の際に支援した組織です。JALの話は色々なところで語られていましたから、情報も集めやすく、どうやら債務カットをしてもらって、その上損金が無期限で繰り延べられるらしい(残念ながらJALとは異なりそんなに損金は作れませんでした)。それなら希望が持てるかも、と考えました。
銀行の目論見は?
わたしは銀行や証券会社は基本的に自分たちの利益しか考えていないと思っていましたから(CMのままに退職金の事○○銀行に相談したら、手数料のやたら高い投資信託を買わされて、銀行が大きく儲かります、値上がりするかどうか運なのは手数料の安い商品と同じです)この話には何か裏があるのではないかとけっこう考えました。
わたしが思いついた銀行のメリットは以下のものです(これは後から気づいた事もはいっているかもです)。
・支援機構絡みで債務カットするとその分は損金にできますから、利益が出ていれば法人税分の35%銀行が損する額を減らせる
・何かの事情があって引き当て金を減らしたい
以上の二つです。のちにこの銀行はほかの銀行と支援機構と共同でファンドを立ち上げましたからもしかするとその絡みもあったのかもしれません。
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