旧知の小児科医、田舎で窮地に#1

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旧知の小児科医

私の大学時代からの友人で、小児科の先生がいました。その先生は小児科医になるくらいですから非常に真面目な先生で、名古屋大学の小児科医局に所属していました。名古屋大学の小児科医局は、他の医局と同じように医局人事があって基本的に独身の男性は遠くに飛ばされやすいというよくある医局でして、彼もある山深い地方都市の中核病院に赴任を命じられました。

地方都市の小児科医は激務

その病院は結構田舎にあるのですが、田舎ゆえに医療圏が広くて人口密度は低いけど、医療圏内人口は多い病院でした。常勤医3名、コール当番が週2,3回あって、出産も扱っている病院でした。コール当番なんだから呼ばれない時もあるとお思いになるかもしれませんが、小児の急患だけでなくて出産などでも夜中に呼ばれるので、コールといっても実質ほとんど当直のようなかなりの激務と想像されます。

睡眠不足と激務で窮地に

彼のその病院への赴任と、私の相模湖病院への転職は同時期で、距離は遠く離れていましたが、定期的に連絡はとっていました。当時は以前からしていた非常勤の外来を名古屋でまだ月に一回ほど続けていたので、2,3か月に一度会ってました。「転職して急に理事長になることになりそうだよ」などの相談もしていました。彼は基本的にストイックでハイパーな人間でしたが、やはりそれだけコール当番が頻回にあると、激務と睡眠不足が重なり疲れが溜まっていったようです。会うたびに、徐々に元気がなくなっていってしまって、まさに過労による適応障害になる一歩手前という感じでした。

サテライトクリニック院長を打診

そこにとどめをさしたのが日照時間の短さと雪、それに小児科の繁忙期が重なり、12月になると外来で患者さんとして会ったら休職をすすめたいレベルになってきていました。私もその当時は少しずつ権限も持ってきてましたから彼のためにサテライトクリニックを法人で出してあげることもできる立場にはなっていましたので、サテライトクリニックの院長就任を彼に提案したところ彼自身も乗り気で小児科クリニックを近々神奈川、東京あたりにオープンしようということが決まりました。

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