Ⅲ-9 再生計画をめぐる綱引き

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引き返せるぎりぎりまでは進んでみようと決意し、支援機構に現状分析をお願いしました。

メインは病院再生計画

法人の再建の中でもメインとなるものは病院の再生で、支援機構が再生を支援するからには、旧来の精神科病院のスタイル(患者さんを入れっぱなしにするというスタイル)からの脱却というものがメインテーマになりました。

新入院患者数5倍?

コンサルタント会社(転職の時に見学行った病院の経営をしていた会社でした)(Ⅰ-3 病院見学 医師紹介会社のエージェントは役に立つ?)や再生支援機構のスタッフからあった提案は、毎月の入院を30名にしましょうというものでした。ちなみに私が入職する前は、1日3人しか診れない院長でしたから月の入院が数名という状況でした。(Ⅱ-2 トンデモ院長part2 )。私が入職した後でもやっと月5名くらい、年間で60名程度でしたから約5倍です。

30名というのは途方もない数字です。200床弱の病院で30名毎月入院するということは3か月で半分の患者さんが入れ替わっているという状況ですから。

新入院毎月30名の根拠は?

30名の根拠は何かあるのか聞いてみたところ、色々おっしゃっていましたが、「精神科病床削減、平均在院日数低下の流れの中で再生を支援するのならインパクトのある数字を出したい」というのが中核なのかな、と思いました。支援を決定する際は内閣府や関係省庁の許可がいるとの事でした。

目標の落としどころ

当時の相模湖病院は平均在院日数が1000日を超える旧来の精神科病院だったので、精神科病院の全国平均の在院日数330日をまずは目指すことには大きな意義があるのではないか。3年後に月間入院患者数18名を目標にしましょう。という目標を落としどころにしようというところで落ち着きそうでした。

孤独な闘い

上記のような話し合いは大体の場合夕方以降夜に行われていました。支援を支援機構にお願いするかもしれない、という話がよそに漏れてしまうのは禁忌ということで秘密裏に行われていました。秘密裏に行われていたためで、院内ではごくごく一部の幹部を除いて誰にも話していません。ただそういう話し合いが夕方以降都心部で行われるため、病院からその待ち合わせ時間に行こうと思うとある程度早い時間に病院を出ないといけない状況でした。そんな中常勤医が一人減って(Ⅲ-8 常勤医二人のみ)病院の仕事も増えていたため、よく早退するわたしに対して、スタッフの中には「あいつは全然仕事をしない、サボっている」と陰口をたたいていた人達もいました。この頃は結構つらい思いをしたものです。

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