マネジメント

Ⅲ-12 医師が一人増えるって大きいです

連帯保証を引き受けて、支援機構の再生支援を受ける事を決めた頃

常勤医が一人増えそう

前年の4月に入職した先生の少し先輩の先生が4月から常勤で来てくれる事になりました。

常勤医2人でサテライトクリニックも2月にオープンしていたので、本当に助かりました。

精神科医は規定上は48名まで受け持つ事ができますが、急性期の患者さんが含まれての48名はなかなかに厳しいものがあります。

非常勤の先生も増えることに

いいことも悪いこともえてして重なるもので、4月から一泊二日で来てくれる非常勤の先生も増える事になりました。

これでサテライトクリニックも週に5日診察することができます。

医師がひとり増えると?

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Ⅲ-11 最終決断、連帯保証を引き受ける?

再生計画の最終案、債務カットの額、などが出そろって、いよいよ最終決断です。この時点でやっぱ無理です。と言ったらヒンシュクを買うのと、費用が1000万ほどかかりますが、まだ一応後戻り可能でした。

再生支援を受けた場合のメリット

まずは10億の債務カットです。これの利息だけで3000万弱収支が改善します。

もう1つは支援機構からスタッフが送ってもらえること。わたしは、経営、マネジメントは素人でしたから助かります。

受けた場合のデメリット

連帯保証人にならないといけないので、もし再建に失敗したら、その時点でいったん自己破産です。

気になる点 続きを読む

Ⅲ-10 債務カット10億!

再生計画は、熾烈な綱引きののちにほぼほぼ最終案ができてきました。

資産の再評価ののち、債務超過は12億強

再建計画を立てると同時に資産の簿価の見直しも行われました。建物や土地などを含めた資産から債務を引いたらマイナス10億ですよ、といわれていたわけですが、それはあくまで帳簿にのせた時点の価値でありますから、資産の価値を再評価してみる事になりました。このような作業は通常行われるようで、JALの時も行われています。

なぜ行われるのかというとその時の資産を適正価格で評価する必要があるという事。債務カットが行われると、カットされた分は利益になってしまいます。利益になればその部分には法人税がかかってしまうので簿価損を算入して利益を圧縮するという狙いもあります。JALはこの時に航空機の簿価損が莫大で何年間も法人税を払わなくてよくなった事は有名です。

当法人も資産の再評価を行ったところ簿価が下がり、債務超過は増加して債務超過は12億強という事になりました。

再建計画の最終案は?

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Ⅲ-9 再生計画をめぐる綱引き

引き返せるぎりぎりまでは進んでみようと決意し、支援機構に現状分析をお願いしました。

メインは病院再生計画

法人の再建の中でもメインとなるものは病院の再生で、支援機構が再生を支援するからには、旧来の精神科病院のスタイル(患者さんを入れっぱなしにするというスタイル)からの脱却というものがメインテーマになりました。

新入院患者数5倍?

コンサルタント会社(転職の時に見学行った病院の経営をしていた会社でした)(Ⅰ-3 病院見学 医師紹介会社のエージェントは役に立つ?)や再生支援機構のスタッフからあった提案は、毎月の入院を30名にしましょうというものでした。ちなみに私が入職する前は、1日3人しか診れない院長でしたから月の入院が数名という状況でした。(Ⅱ-2 トンデモ院長part2 )。私が入職した後でもやっと月5名くらい、年間で60名程度でしたから約5倍です。

30名というのは途方もない数字です。200床弱の病院で30名毎月入院するということは3か月で半分の患者さんが入れ替わっているという状況ですから。

新入院毎月30名の根拠は?

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Ⅲ-8 常勤医二人のみ

支援機構に現状分析をお願いしようかどうしようか悩んでいる時に病院で大事件です。

院長が交代して

4月からは前述(Ⅲ-4 病院の改革のために)の先生が入職してくれて、わたしが院長兼任になり、医局の体制はかなり強化されました。

新しく来てくれた先生の診断や投薬は、腑に落ちるもので、安心して任せられました。

そのため急性期亜急性期の病棟はわたしとその先生の二人で診て、それ以外の病棟は非常勤の先生ともともといた常勤の先生で診る体制で固まっていきました。

病院の改革も

もともとトロイカ体制で運営していた(Ⅱ-4 不思議なマネジメント形態)わけですが、毎週一回はそれまで三者で行っていた会議にも顔を出し、四者での会議とし、決めないといけない事、改善しないといけない事をわたしの名の下にスピード感を持って進めていくようにしていきました。

それと並行して、わたしはサテライトクリニックの開院準備や支援機構の話をどうしていこうかなどに頭を悩ませていました。

常勤の医師から辞表が提出される

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Ⅲ-7 再生支援機構に支援をお願いするか?

支援機構のスタッフからはわたしを中心に再建を図る方向で、と提案を受けましたが、それはすなわち連帯保証人になるという事です。債務カットがどれくらいされるのかわかりませんが、現状借金は20億です。

もし支援を受けなければ

わたしが転職する前年の決算では法人全体で100万の経常利益、わたしが転職して一年目が5000万程度の経常利益、経営に関心のない院長が交代したのでもう少しはよくなるだろうという事で仮に経常利益が7000万としても、記事に書いたように(Ⅱ-6 借金20億!債務超過?BS?PL?)債務カットがなければどこかで大きな修繕がきた時点で詰みます。

もう少し、利益が増やせて、かつ15年くらい大きな修繕がこなかったとしても(かなり都合のいい仮定です、こういう発想はだいたい失敗をします)連帯保証人になっている方が70歳を超える高齢で、いつ亡くなるかわからない。もし財務状況があまり改善していない早期に亡くなってしまうとそれでも詰みます。

もし支援を受けたら

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Ⅲ-2 病院って儲からないんです

自分が経営に関わるようになる前は病院の経営って儲かるんだと思っていました。ある程度以上の病院の院長、理事長なんて言ったらお金持ちってイメージありますよね?

この記事の内容は当時のわたしは理解していない内容でした。このブログでは基本的に当時の自分の理解をなるべく再現するように心がけていますが、今だからわかる事も時々記事にしていきたいと思っています。

厚労省発表の全国の病院の平均的利益率

厚生労働省が発表している資料でH27の病院経営指標をみると
199床以下の精神科病院の利益率が2.1%、200-299床の精神科病院が4.1%、300-399床が5.0%、400床以上で5.4%となっています。
相模湖病院は実質187床で回していたので全国平均だと2.1%です。

多くの精神科の収入源

当時(今でもかもしれませんが)、精神病院のドル箱は療養病棟とデイケアだと言われていました。療養病棟は単価は安いですが、スタッフの数が少ないので利益が出しやすいです。ちなみに相模湖病院は廊下幅が数センチ足らなくて療養病棟には転換できませんでした。デイケアは算定できる日数が少しずつ削られてきているので、今となっては当時ほどの利益は見込めないと思われます。相模湖病院のデイケアは参加者が多い日でも5名で収入源どころか赤字垂れ流しでした。

病院の利益を概算、相模湖病院の場合

利益率を多く見積もって5%としましょう、精神科一般病棟の平均単価は13700円です。病床稼働率が95%としましょう。そうすると、(当時の相模湖病院の実際の数字とは異なります)

187×0.95×13700×365=888338825(売り上げ)×0.05=44416941.25(利益)

となります、利益は約4500万という事になります。それに外来や自費分の収入をいれて、合計5000万の利益があるとしましょう。 続きを読む

Ⅲ-4 病院の改革のために

細かな改革を苦労しながらすすめていくうちに数か月が過ぎ、旧知の小児科医とクリニックを立ち上げる話が浮上してきていました。(はしもと開業記事一覧)それとは別に病院の更なる改革のためにはまともな精神科医が最低あと一人ほしい状況でした。

製薬会社の講演会の司会

製薬会社主催の勉強会で、司会をしてほしいという依頼がありました。当時忙しかったので引き受ける事は大変だったのですが、少しでもつてを作りたいと思い引き受けました。名古屋の大学を出て名古屋の医局に所属し名古屋で働いていたので、当時の私は関東で知り合いと呼べる先生がほとんどいませんでしたから、そういった機会に少しでも知り合いを増やしたいなと思ったのです。

講演会の慰労会で

その際メインの講演をする先生、当時5年目か6年目の指定医をとったばかりの先生ですが、その先生と打ち合わせと打ち上げで会食する機会がありまして、それなりに意気投合して、その直後の地方の学会でも食事をする事になりました。当時はすでに製薬会社主催の会食はなくなっていたのですが、講演会はまだまだありました。

常勤医が増える事に

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クリニック開業時のスタッフ集め#7

オープンの日は工事の進捗が遅れて2月になりました。次はスタッフ集めです

小児科・精神科、必要なスタッフは?

小児科的には看護師さんは必須です、常勤一人とパートで2名ほど確保したいところです。受付のスタッフは常勤を雇うまでもないだろう、パートを何名か雇おうと決めました。精神科的には臨床心理士を、事務長兼任で常勤で一人雇って、心理検査や予診もお願いしようと決めて、スタッフを募集し始めました。

応募状況は?

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クリニック開業時は決めることだらけ、内装、外観、家具#5

場所が決まったら開業の準備は半分くらい終わった気分になりますが、場所が決まってからも決める事がとにかくたくさんあります。

クリニックの建物を借りる、建て貸しとは?

そのクリニックモールは某大手のハウスメーカーが募集していたところで、クリニックも多く手掛けていました。形式としては建て貸しというもので、建物をオーナーが資金を出して建てて、それを借りるという形式でした。この形式ですと、戸建の場合の建物を建てる費用、テナントの場合の内装の費用を負担しなくてもいいので、最初に大きな資金が必要ないというメリットがあります。当時資金繰りの苦しかったうちの法人としてはありがたい形式でした。

間取り、外観と内装を決める

そこで大手のメーカーの設計の方が、間取りと外観の提案をしてくださいます、この時、外観はモールのオーナーが決める場合もあるでしょうが、その時はこちらの希望通りでいいですよ、という事でしたので、スペインというかイタリアというか南欧風の外観を希望しました。間取りは銭湯方式で、入り口を入ったところに受付があってその裏手に両科共通の処置室を置き、左手に精神科、右手に小児科とし、待合のスペースは小児科:精神科を7:3程度に割り振りました。診察室はそれぞれ二つ作りました。精神科の待合と受付の間にはスリット状の目隠しを設置しました。

間取りが決まると内装の提案をしてくださるわけです。

内装の提案が、、、

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