こころの発達相談
思春期について
思春期は、二次性徴(女子は初潮、男子は精通)に始まります。体が子どもから大人に変わると同時に、心も子どもから大人へと変わっていきます。成熟していく自分の体に合わせた精神的な成長が思春期の発達課題となります。
思春期の精神発達の流れ
- ・二次性徴により、これまでにない自分の欲求や興味関心にとまどい、持て余してしまいます。
- ・二次性徴は、親から離れようとする生物としての動きも生じます。
- ・変化した自分が、同年代集団に受け入れられたり、共にいられることで、落ち着いていきます。
- ・友達関係の中で、互いに合っている望んでいるものを探していくお試しを繰り返していきます。
- ・上述の友人関係を深めていくことが、より親離れを進めていきます。
- ・そうして少しずつ、大人になっていく男女としての自分を受け入れていきます。
- ・将来の目標を持ち、男女としての自分に自信を持つことで、前に進めるようになります。
思春期の難しさについて
この年頃になると、これまでのように親と話さず避けたり、時に暴言を吐くようになるお子さんに戸惑われる親御さんは多くいらっしゃると思います。また、苛立ちやすく、なのに不安になったり落ち着かず、そんなお子さんを見ていて親御さんのほうが心配になられることもあるでしょう。
これらは、この時期に誰もが一時的に経験する自然な状況なのです。思春期には、前進と退行を何度も繰り返します。そのため、一時期収まったのにまた・・と気落ちされなくても、しばらくすると自然に元に戻ることは多くあることです。場合によっては、友達関係にうまく入れない、学校に行きたがらず、家庭内暴力が生じ、自分達の子どもはおかしくなったのではないか?病気なのではないか?と思われる方の声もよく聞きます。
しかし、ほとんどが心の病気ではなく、上述の精神発達のどこかが上手くいっていないために生じている反応です。この場合、お子さんの発達を促していくことで、彼や彼女の未来は開けていき、本人も親御さんも心配されていることは解消されていきます。
当院では、思春期の精神発達を促す親ガイダンス・個人心理療法・合同面接を行っております。
親ガイダンス
お子さんへの悩みや不安に対して、まずは親御さんに語っていただきます。
現在の過ごし方、家庭内でのやり取り、生育歴を聞いていきます。
そこから子どもの心の動きと発達レベルを捉え、親御さんへの整理と理解を促します。
そして、お子さんへの対応について具体的に助言させていただきます。
親ガイダンスの機能
- お子さんに対して
- ・精神発達からの課題と育っている力、それらを整理してお子さんの理解を助けます。
- ・その年齢での一般的な理解、お子さんならではの理解を整理します。
- ・今よりお子さんが成長していけるための関わり方や課題への対応を助言します。
- 親御さんに対して
- ・親御さんの不安や悩みを抱えて納めていく場を提供します。
- ・親御さんの上手くいっている面を積極的に見つけ出し、支持していきます。
- ・ご希望あれば、学校など他機関との連携も行っていきます。
Q&A
お子さんの場合、身近な大人の助けや促しによってそれが得られます。最も近い大人である親御さんに、その役割が果たせるようサポートすることが、お子さんの発達を促します。
そのため、最もお子さんをご存じの親御さんとの相談が効果的です。中期思春期以降は、本人への心理療法も有効です。
担当:臨床心理士 仲谷隆
学生時代より子育て支援のNPO法人にて、乳幼児を中心とした子どもの育ちと親子関係について学び、引きこもりや不登校などの青少年問題に取り組む。その後、公立小・中学校のスクールカウンセラー、児童相談所一時保護所、市の教育相談にて数多くの事例を担当して相談経験を積む。また、精神科クリニックでの児童思春期専門外来にて心理検査とアセスメントを担当する。
所属学会 日本思春期青年期精神医学会(正会員)
ごあいさつ
現在は核家族化が進み、子どもの育ちに纏わる多くの考えが広まっています。
しかし、正しい理解がなされずに言葉や考えだけが一人歩きしているように感じます。当院では児童思春期専門の臨床心理士が、様々な疑問や悩みをお受けしております。